1992年3月13日金曜日

山 桜



65" x 45"

日本独特の花のなかで、一番人に好かれ、詩にうたわれ、崇敬されているのは、桜だと思う。 詩人はあらゆる角度からその美しさをたたえる。 つぼみのふくらむ頃... 満開の花の華やかな姿... 春もたけなわな頃の熟れたその風情... 若木の幹のつややかさ... ふしくれだった老木の威厳あるたたずまい... そして、一陣の風にちってゆくそのいさぎよさ!

そうした桜の美しさを、私は絵に描いてみたかった。 この作品で表現した美の段階は、風に吹き散る寸前の、咲き誇る桜である。 高浜虚子の次の句を考えながら画いた。
「咲き満ちて
こぼるる花も
なかりけり」

1992年3月12日木曜日

藤 の 頃



45" x 60"

藤の季節… 春もたけなわのとき、桜の花が、にぎやかさとアクションを表現するのに比べて、藤の花は、優雅なたたずまいと静寂を象徴すると思う。 満開の頃は、暖かな春の庭をやわらかな芳香で包んでしまう。 水原秋桜子の作で次のような句がある。
「風入れて
めざめかぐわし
藤の頃」
ふくよかな藤の香りと、昼寝のあとの満ち足りた感じを、「藤の頃」と題する絵で表現してみた。

Mr. and Mrs. William Yee 所蔵。