1995年3月13日月曜日

花 の 雲



28" x 54"

ときは四月。やわらかな陽のひかりと、花ぐもりの空と、満開のさくらが、一緒にとけ合うときである。 17世紀の俳聖芭蕉は、次の有名な句をのこしている。
「花の雲 鐘は上野か 浅草か」
さくらの花が、いかに広い区域にわたって咲き誇っているかを、芭蕉は、鐘の音に焦点をおき、数十マイル離れた二つの地名をならべて、その距離感と、豪勢さを表現した。

私は、この句に促され、横に細長いカンバスを選んで画いてみたが、鐘の音を表現することは出来なかった。 言葉の力を前にして、またまた頭を下げずにはおられず、自作の句を、おそるおそる記する次第である。
鐘の音や
桜をわたり
あちこちに
Mr. and Mrs. Frederick M. Overholt 所蔵。

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