65" x 45"
日本独特の花のなかで、一番人に好かれ、詩にうたわれ、崇敬されているのは、桜だと思う。 詩人はあらゆる角度からその美しさをたたえる。 つぼみのふくらむ頃... 満開の花の華やかな姿... 春もたけなわな頃の熟れたその風情... 若木の幹のつややかさ... ふしくれだった老木の威厳あるたたずまい... そして、一陣の風にちってゆくそのいさぎよさ!
そうした桜の美しさを、私は絵に描いてみたかった。 この作品で表現した美の段階は、風に吹き散る寸前の、咲き誇る桜である。 高浜虚子の次の句を考えながら画いた。
「咲き満ちてこぼるる花もなかりけり」
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