48" x 40"
昔の東京の街は、いろいろな物を売って歩く人の呼び声で、その日の時間が大体わかったものである。 納豆売りは朝御飯のころ、竹竿屋はお昼の前後、富山の薬売りは午後といった具合だった。 納豆売りと竹竿屋は、特有な節をつけた声で売り物を宣伝した。 富山の薬売りは、引き出しがいくつもある大きな箱を、天秤にぶらさげていて、金具が歩調にあわせて、カチャカチャと音をたてた。
風鈴売りがくるのは、涼しい風がたちはじめる夕方だったように思う。 いろいろなデザインの風鈴を、三輪車に吊るして、ペダルを押すたびに、チリンチリンときれいな音をたてた。
「風鈴の音を点ぜし軒端かな」
という虚子の句は、五七五の短い詩のなかで、季節のよろこびを十分に味はせてくれる。
このキャンバスでは、涼しさと風鈴の音を、私なりに画いてみた。
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